海外での子育て体験談|アジア編
日本での家事育児。たとえ共働きでも、まだまだママの負担が大きくなりがちな我が国の家事育児事情ですが、世界を見ると本当にいろいろな生き方があるなと感じます。今回は、世界各国へ日本から移住した方たちの実際の家事育児体験談をご紹介します。
海外子育て体験談|タイ
私は33歳男性でメーカー勤務をしているFといいます。昨年3月までタイのバンコクに家族で住んでいました。その時のお話をさせていただきます。
家族一丸で乗り越えたタイ生活
29歳の時に会社の転勤でタイへと行くことになりました。同じ年の妻と、2歳になったばかりの息子との引っ越し作業は想像を絶するハードワークで、辞令が出てから現地に赴任する3ヵ月間は何をどうしたのか思い出せない程、バタバタでした。そんな中やってきたタイでの家事育児をご紹介します。
まず、子育てや生活全般については、私の会社の同僚が周囲に多く住んでおり、その方々の見よう見まねで学んでいきました。基本的に、現地でかかる費用(幼稚園・医療費・行政関連の諸手続き等)は立替払いで、全て会社で精算してもらえたので、日本にいるより便利とは言えませんが、細かいことを考えなくてよかったのは助かりました。
家族のみで渡航したので、当然、現地に頼れる親族等はおらず、基本は家族で取り組み・解決するしかありませんでした。現地の日本人コミュニティがしっかりしているので、信頼できる知り合いを増やして、相談に乗ってもらうぐらいでした・
主に家事は専業主婦として妻があたってくれました。小さな子どもの育児もしつつ、スマホで情報収集しながら、不慣れなタイでの生活を切り盛りしてくれた姿には頭が下がる思いです。
海外では現地の家事代行サービスも利用
ある程度生活が落ち着いてきた段階(半年後ぐらい)で、現地の日本人の方もオススメしていた家事代行サービスを利用し始めました。妻の負担を少しでも減らせればという思いでしたが、現地の家政婦さんになるため、余計なトラブルの元になるのでは?という懸念もあり、ある程度生活が安定するまでは様子見していました。申込みは、会社で紹介・手配してもらい、同じマンションで別の日本人家庭を担当している現地の40歳の女性の方(簡単な英語を話せました)にお願いしました。
1回1,000円程度で2~3時間/回、週に2~3回程お願いし、掃除・選択やたまに料理もお願いしていました。特に大きなトラブルなく利用出来たのは、事前に先輩方に教えてもらったルール決め(やってほしい家事だけ明確に伝える、金品は金庫に入れる)があったからだと思っています。
日本と大きく違ったのは、困ったらとにかくお金で解決することでした。言葉も文化も違うため細かい交渉もしてられないので、ちょっと高くても信頼できる物(人)にお金をかけることでした。日本では真似できませんが、タイの生活ではトラブルを未然に防ぐ策でした。
私自身、心掛けていたのは、とにかく家族の不安を払しょくすることに努めていました。特に防犯面では、家のセキュリティーや困った際の相談相手(夫以外)を日々確認し、ストレスをなるべく軽減するように意識しました。家事・育児も任せきりにならないよう、時間の許す限りこなすようにしました。日本と違って、仕事外での付き合い(飲み会・ゴルフ)がないぶん、家族の時間は確保出来たと思っています。
海外子育て体験談|韓国
私は3人の子を持つアラサー主婦Mです。韓国に移住して10年が過ぎました。韓国での子育てについてのお話をさせていただきます。
韓国人男性はあまり家事育児には関与しないと言われていましたが
主人と出会って二年目の春、まだ言葉もままならないままに韓国に嫁いでから十年の月日が過ぎました。幸いにもすぐに子供に恵まれて、小学校3年生、一年生の男の子、二歳の女の子のオンマ(お母さん)をしています。韓国に来た当初はまだ二十代の後半だったのにいつの間にかアラサー世代に突入してしまいました。
主人の両親は遠方に住んでいる上に八十台と高齢の為、育児を手伝ってくれるようなことはありませんが、習慣の違いや考え方、世代の違いがあるために個人的にはあれこれ言われずに済んでほっとしている部分があります。よく手伝ってくれる義両親を持つ友達の話を聞くと羨ましい時もあるけれど、よそはよそ、家は家だと思って頑張ることにしています。それぞれ苦労があるはずですからね。
主に家事育児をしているのは私ですが、子供が三人いるので主人も韓国人としてはとてもよく手伝ってくれます。毎日十二時間労働をしながら子供のお風呂を入れようとしてくれたり、洗い物があるとサッと片づけておいてくれたり。日常の些細なことが気が付くと終わっていることが多く、ありがたいなぁと感じます。この話を友達にすると、韓国人男性はそんなことしないのに、と驚かれるので自慢の主人です。
家庭の中に外国人の居る家庭を多文化家庭と呼ぶのですが、外国人嫁が多いこともあって、多文化家庭に対する支援が多くあります。無料で韓国語や料理を習えたり、国家資格をとることのできる講座が開催されています。私も無料でリボンアートや花茶、介護士の資格を取らせてもらいました。
韓国では初期教育が盛んで、どこの家庭でも子供は習い事を
保育園や幼稚園に入園するのが都市部は激戦になっていますが、子供の言葉の発達の関係もあって多文化家庭は優先順位が少し高くなっています。多文化家庭と関係なく保育料も無料なので、全体的に早めに保育園に預けて仕事を始めるオンマたちが多いです。
小学校が終わる時間が二時過ぎと早いので、放課後教室があり、希望者は授業の他に選択で外国語や美術、楽器、体操などを学校で習うことができます。そして初期教育が盛んに行われているので、どこの家庭でも一つや二つの習い事をさせています。家の子供たちは私の韓国語に少し不安があることもあり、一週間に三日、国語と算数の塾に通っています。個別指導なので各自のペースでできて実力の底上げが目的です。
塾も激戦なのでサービスが盛んで、塾の車で学校まで迎えに来てくれて家までの送迎付き、朝も家から学校まで送迎してくれる上におやつや夕食を準備してくれるところもあります。共働きの家庭が多いので働くオンマたちはこうして子供たちを塾に送って、朝から夜遅くまで仕事に行くらしいですよ。幸い私は専業主婦をさせてもらっていますが、日本でもこういったサービスが充実していたらいいのにと思う反面、子供を育てながら働くのはどこの国でも大変だと感じています。
韓国は学力至上主義なので学校でも体育の授業やクラブ活動のようなものがなく、日本以上に詰め込み式の学習が盛んに行われています。まだ三歳くらいから塾に通い、早く早く勉強ができるようになるよう先行教育されて学校の勉強よりも塾の学習がはるかに難しいこともあるようです。最初は驚いたしそうなりたくないと思いましたが、これからもこの国で生きていく以上はある程度合わせていかないといけないのが辛いところで、今も折り合いをつけようと日々健闘しています。
まとめ
今回は海外・アジア子育て事情についてご紹介させていただきました。日本では家事代行なども、最近は随分盛んに利用されるようになってきたとはいえ、まだまだ家族以外の人に家事をお願いすることのハードルが高い気がします。海外ではどのように共働き夫婦やひとり親たちが家事育児と仕事の両立を乗り越えているのかなど、今後も体験談をいろいろとご紹介させていただきたいと思っております。